「好きなことを仕事にする」ときの注意点
「好きなことを仕事にしたい――――」
これは、私自身がずっと思ってきたことですし、今でも理想だと思っています。
ただ最近、この生き方を世論が煽り過ぎているように思い、危険性を感じたため、記事にしました。
今の世の中のように「求職者の数が求人企業に比べとても少ない」、求職者有利の超売り手市場だと、求職者が気持ちよくなるような世論になりがちです。
たとえば、「これからは好きなことを仕事にする時代だ。それができない人はロボットに仕事を奪われるだろう」みたいな主張です。
たしかに言わんとしていることは分かるのですが、
万人がこれを真に受けて軽率に仕事を辞めてしまうと、家庭がめちゃくちゃになって路頭に迷う人が続出…みたいなことになり兼かねんと思い、注意点を記載したいと思います。
市場のニーズが第一
「21世紀のナポレオンヒル」の異名を持ち、毎年100万人以上のビジネスオーナーに影響を与え、世界一多くの億万長者を生みだしているダン・ケネディは次のように述べています。
21世紀のナポレオンヒル:ダン・ケネディ
好きなことをとことん追求すれば、お金は後からついてくる。こんな能天気な主張があまりにも多い。好きなことをして運良くお金が入ってくることがないわけではないが、それは極めて稀なケースだ。滅多に起こりえない偶然に身をゆだねるつもりなのか?
私だって、叶うならハンモックで昼寝をしていたい。読書に耽りたい。ピザをお腹いっぱい食べたい。フットボール観戦に明け暮れたい。
だが残念ながら、こうした私の行動を観察するために列をなして待ち、お金を払ってくれる人はいない。(中略)
富はビジネスから生まれるものだ。そしてビジネスは、市場の需要に応えるべきものであって、断じて自分の喜びを得るためのものでははない。
人々が求めているのは、病気の治療であり、難題の解決であり、望みや願いを成就させるための手助けであり、便利なサービスである。
わずかな労力で瞬く間に、溢れるほどの富を引き寄せたいと本気で考えているなら、答えは明白だ。自身の能力を最大限に発揮できるニーズを見つけて、それに応えることだ。
出典:億万長者のお金を生み出す26の行動原則
これは、「どんなに自分の好きなことでも、それに対するニーズが世の中になければ、お金は生まれないよ」ということですね。
例:ある絵描きの場合
ちょっと考えてみてほしいのですが…
1.絵を書くのが好きで好きでしょうがない人がいます。
2.彼は美大を卒業していて、個性的ですが、とてもハイレベルな絵を書くことができます。
3.彼はブログに絵をアップロードしたり、You Tubeで自分の絵を毎日毎日アップロードしました。
4.3年経ったとき、ブログのPV数は月200 PV、YouTubeの閲覧回数は1ヶ月頭5回、3年間の売上は6万円でした(年収2万円)
もし、趣味としてやるなら収入なんてどうでも良いことですが、「好きなことを仕事にして生計を立てる」のなら、年収2万円ではとてもやっていけませんよね。
なぜ彼は年収2万円になってしまったのか?
彼は絵を書くのが大好きです。絵を書くことに非常に情熱的です。
しかし、彼の絵はほとんど売れませんでした。
理由はいくつもあると思いますが、代表的なものだと…
1.市場に何が求められているのかを調べなかった(マーケティング)
2.どうやったらより多くの人に露出できるのか知らなかった(プロモーションの知識)
3.自分の信念を発信する方法が分からなかった(マーケティング・コピーライティング)
こういったところでしょうか。
そうです。
彼は、「絵を書くプロ」です。
「市場が求めているもの」を炙り出すマーケターでもなければ、web上でターゲットに自社サービスの露出を最大化させるプロでもありません。
彼にどんなに絵を書く能力があったとしても、彼の絵を「素晴らしい!」と思ってくれる人に届ける術がなければ、全然お金にならないですよね。
チームでやるか?マーケティングを学ぶか?
このように、「好きなことを仕事にする」ためには、
「商品の創出」→「ユーザーに届ける」までの一連の流れは避けては通れません。
そうなってくると、選択肢は2つに絞られます。
①チームに所属して、得意分野の業務だけを担当する
…先ほどの例だと、「1~3を別の人に任せて、自分は絵を書くことに集中する」ということですね。これは、会社に所属したり、得意分野ではない業務を外注することで可能になります。
②商品の創出以降のプロセスも自分でできるようにする
…1~3の業務を自身でやる。そのために、マーケティングを学ぶ。
もし、1~3のプロセスを自分でできる人がいれば、どんな分野でも「好きなことをお金に繋げる」ことができるでしょう。
一流のマーケターは、今ない需要ですら新たに作り出すことができる、創造主のようなものですから。
とはいえ、誰でも最初は初心者の状態から飛び込むわけですから、いきなり創造主になることはできません。
ただ、努力して勉強して実践を繰り返せば、いつかはできるようなるのも事実。
もし、「好きなことを仕事したい!」と思うことがあれば、「自分の好きなことに価値を感じてくれる人はどんな人なのか?」を考えてみることから始めてみるのはいかがでしょうか?